国道148号線を白馬から日本海方面へ向かい、中土トンネルの先の交差点から県道114号線を東へ向かうこと十数km。急激に道路の傾斜がきつくなって最初に現れるのが「あつ湯元 熱泉荘」だ。そして次に現れるのが「大湯元 山田旅館」。これらは既に紹介した。さらにその奥にあるのが今回紹介する「奥の湯 雨飾(あまかざり)荘」だ。これら3つをひとまとめにして「小谷(おたり)温泉」と呼ぶ。小谷村には数多くの温泉があるが、小谷温泉は最も人里離れた静かな山奥にある。 熱泉荘と山田旅館は真冬でも営業しているが、雨飾荘はあまりに奥深いため、そしてアプローチ道が狭く険しいために冬期は閉鎖される。雨飾荘は、日本百名山である雨飾山(標高1,963m)の登山口にあたり、登山客らの宿泊施設、日帰り入浴施設としても利用されている。雨飾荘の標高は約800m。西を見やれば、白馬三山が良く見える。眺望も抜群の温泉宿だ。 雨飾山を登ったのはもう15年位も前になるが、確か紅葉の時期であり、紅葉で美しく彩られた森の中を快適に歩いていたら、いつのまにか頂上に着いていたように思う。雨飾荘からは、往復約7時間の行程だ。 雨飾荘の中に入れば、落ち着いた雰囲気の空間が出迎えてくれる。和風のようでもあり、洋風のようでもあるロビーから左奥へ入った所が男湯だ。 浴室はシンプルである。手前両側に合計8ヶ所の洗い場があり、その奥に内湯の浴槽、さらにその奥に露天風呂が控えている。露天風呂は内湯の中をジャブジャブと歩いていかなければ到達しない。 湯は無色透明。湯温は適温か、どちらかと言えば熱めだ。内湯は標高800mの宿泊場所とは思えないほど立派な石貼の浴室であり、岩風呂の露天風呂からは山の斜面が見える。この時期、さかんにうぐいすの鳴き声が聞こえ、この上ないリラックス感を得ることができた。時の経つのを忘れさせてくれる温泉である。 我々取材班が雨飾荘を訪れたのは、日帰り入浴が始まる10:00前。ゴールデンウィークだからか、続々と車で客がやってくる。しかし、彼らの目的は雨飾荘の温泉ではなかった。雨飾荘の手前100mほどのところにある「村営 露天風呂」が彼らの目的地だ。 村営 露天風呂はその名の通り、遮るもののない露天風呂だ。ちゃんと男女別々になっており、脱衣場所はもちろん、トイレまで完備されている。入浴料金は協力金という形で、任意となっている。 体を洗う必要がなければ、入浴料金を支払う必要のある雨飾荘ではなく、村営 露天風呂の方が開放的で良いという事なのだろうか。但し、決して無料ということではないので念のため。 ちなみに、雨飾荘の湯はナトリウム−炭酸水素塩泉(中性低張性高温泉)であり、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後の回復、疲労回復、健康増進に効くという。 雨飾荘は、登山客にも、そうでない温泉好きにもぜひ訪れたい静かな山奥の温泉である。ゴールデンウィークであれば、残雪、気持ちの良い涼風、うぐいすの歌声を楽しむことができよう。初夏であれば新緑、秋であれば紅葉がある。ここにないは、煩わしい携帯電話の電波だけかもしれない。 日帰りの入浴 営業時間 10時00分〜15時00分 料金 大人 600円 小人300円 宿泊 チェックイン 15時00分〜 チェックアウト 〜10時00分 料金 大人 1泊2食付 12,000円〜 | ||||
住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
長野県北安曇郡小谷村 大字中土18926-1 |
600円 | × | × | 10:00〜15:00 | 無休 (11月中旬〜4月下旬は休業 詳細は要確認) |
※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年5月3日(月)
情報更新日:2013年10月12日(土)