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小谷温泉 大湯元 山田旅館
(Otari Onsen Ooyumoto Yamadaryokan)



 小谷温泉 山田旅館の歴史は、1555年に始まる。武田信玄の家臣・岡田甚一郎が温泉を発見したのがその始まりだと言われている。その頃から小谷温泉は、「現夢の湯」と称されたそうである。夢のように素晴らしい温泉が現実にここにあるという意味なのだろうか。
 その後、小谷温泉の湯は、明治26年にドイツで開催された「温泉博覧会」にて、日本を代表する4つの温泉のうちの1つとして、内務省の特選で出品(出泉)されたそうだ。その時の日本代表の面々が凄い。小谷温泉の他に、別府温泉、登別温泉、草津温泉が名を連ねている。つまり、小谷温泉は、そういう面々と同等の扱いであったというわけだ。
 山田旅館の建物は、複数の建物で構成されているが、そのうち一番古い建物は江戸時代からある大変古いものだ。これらは登録有形文化財となっている。木造の建物は3階建ての大規模なものであり、中に入ってみると、残っている木の建具にはかなりの隙間があいていることがわかる。このためか、屋外に面した建具のかなりがアルミサッシに変えられている。
 山田旅館には、旧館の温泉と、新館の温泉がある。前者は、「大湯元」の源泉を使用しており、日帰り利用と宿泊者の両方が利用できる。後者は、「新湯」の源泉を使用しており、宿泊者しか利用できない。新館側には露天風呂もあるが、旧館側は内湯のみとなっている。
 今回の取材は旧館の浴室で行った。浴室の脱衣室の入口は、かなり古びた木の建具だ。浴室の壁は、温泉の成分でかなりコテコテになっており、元の仕上げが何であったのかがさっぱり分からないようになってしまっている。
 浴槽へは、滝のように温泉が流れ込み、浴槽の端には、温泉の成分でコテコテになった寝風呂(1人分)がある。寝風呂の部分は水深が約10cmであり、石の枕も用意されている。ここで寝転んでいると、絵になる光景となる。浴槽の湯は適温で42℃程度。茶色がかった色が特徴だ。
 洗い場は2箇所ほどあるが、水の水栓しかない。仕方がないので、浴槽から湯をくみ上げて体を洗う。椅子は3つしかない。シャンプーと固形石鹸は完備されている。サウナはない。
 山田旅館は、長期滞在して、湯治をするためにくる客が多いという。なるほど、これくらいの快適な湯温であれば、1日に何度でも入浴できるだろうし、静かな山の中で過ごせば、心身ともに、元気になることは間違いあるまい。
 ちなみに、山田旅館の湯は、ナトリウム−炭酸水素塩泉(重曹泉)で、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚炎などに効くという。
 山田旅館は、別府温泉、登別温泉、草津温泉のように、決して大挙して観光客が訪れるような温泉ではない。しかし、その方が静かな雰囲気が害されないでいいと思う。静かな山と、古い建物と、気持ちのいい温泉。これぞ、日本の温泉である。

大人500円、小人250円(宿泊客は無料)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
長野県北安曇郡小谷村
中土小谷温泉
500円 × × 10:00〜15:00(要確認) 無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2007年12月29日(土)



 
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