伊香保温泉 石段の湯
(Ikaho Onsen Ishidannoyu)



 今回紹介する温泉は、上州三大名湯の一つである伊香保温泉である。他の二つ、すなわち草津温泉四万温泉は既に当銭湯愛好会ホームページで紹介しているので、今回の取材で上州三大名湯を全て紹介したことになる。
 昔から子宝の湯で知られる伊香保温泉は、第十一代垂仁天皇の頃に湧出し、万葉集、古今集にも詠われるほどの古い温泉だ。長篠の合戦の後に、武田側の戦傷者を収容するために計画的に造成され、ほぼ現在の形になったという。上から温泉の導水管が配置され、左右の旅館に配水されるシステムに合わせるように旅館が計画的に建ち並ぶ様は、日本では類を見ないものだったらしい。明治時代には、日本政府の招聘により来日したドイツ人医師ベルツが、この伊香保温泉を例にして日本の温泉地の改善策を政府に提案したことでも知られる。伊香保温泉は、大正時代の文人・与謝野晶子らにも愛されたという。
 この伊香保温泉のシンボルは、なんと言っても石段だ。360段の石段が伊香保神社まで続いている。その両側には、旅館や温泉饅頭「湯の花饅頭」を売る土産物屋、射的場が建ち並び、独特の雰囲気を醸し出している。しかし、本日は三連休初日の昼過ぎだというのに、なぜか石段の通行人は少ない・・・。
 そんな石段の登り始めの部分にある日帰り温泉施設が、今回紹介する石段の湯である。
 石段の湯はシンプルそのものだ。洗い場が8か所あり、浴槽が1個あるだけだ。サウナ、露天風呂、水風呂、シャワーブース、上がり湯等は一切ない。洗い場には白樺物語ブランドのリンスインシャンプーとボディーソープが完備されている。浴槽の湯は41.6℃を示しているが、若干熱めだ。湯は茶色で少し濁っている。
 ちなみに石段の湯はカルシウム・ナトリウム−硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉(中性低張性温泉)で、関節痛、うちみ、くじき、きりきず、やけど、動脈硬化症、慢性皮膚病、慢性婦人病、神経痛、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、間接のこわばり、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、健康増進、疲労回復、虚弱児童に効くという。
 せっかく伊香保へ来たのだから、水沢観音参拝をして、日本三大うどんの一つである水沢うどんを食べようということで、うどん店が建ち並ぶエリアへ向かった。入ったのは老舗・大澤屋。わが銭湯愛好会は、さぬきうどんの本場である高松に本拠地を構えるため、うどんにうるさいメンバーが多い。
 注文したのはシンプルな「ざるうどん」。大澤屋のうどんは少し細めの麺で、コシがしっかりしており、つるつるとした食感が、うどんにうるさいメンバーをも十分に魅了した。つゆは鰹節の香りが高く、ちょっと辛めだ。
 伊香保温泉周辺には、地元の特産物を売る「食の駅」がある。ここは元「伊香保バーデハウス・金太夫ベルツの湯」という温泉施設だったらしい。ここで売っている濃厚なドリンクヨーグルトは特筆するべきおいしさだ。野菜、果物、総菜も豊富なので、実用的なお土産としても重宝するだろう。
 伊香保温泉は、首都圏から日帰り圏内だ。歴史ある温泉を町全体で味わおう。

入浴料:大人400円、小学生200円、6歳未満の幼児で保護者同伴の場合無料、身体障害者、65歳以上の老人100円


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
群馬県渋川市伊香保町
伊香保36石段街入口
400円 × × 4月〜10月:月曜日〜土曜日9:00〜21:00、日曜日、祝日9:00〜21:00(最終受付20:30)、11月〜3月:月曜日〜土曜日9:00〜20:30、日曜日、祝日9:00〜20:30(最終受付20:00) 第2、第4火曜日

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年7月17日(土)



 
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