四万温泉 たむら
(Shima Onsen Tamura)




温泉雑炊
 特急・草津に乗り、中之条駅で下車し、四万温泉行きバスに揺られること40分。到着した地はまるでタイムスリップしたかのように風情あふれる旅館が建ち並ぶ温泉街・四万温泉。古くは室町時代から湯治温泉として栄えており、「四万もの病に効く」事からその名がついたとの由来があるそう。うっすらと雪化粧をした街並みは、訪れる人達をどこか懐かしい気持ちにさせてくれる。散策がてら、至るところにある飲泉所で喉を潤すというのも、なんとも粋な楽しみ方である。ややしょっぱく、熱めの温泉水は胃腸にも効果があるそうだ。

 到着後、昼ご飯のため旅館「くれない」の食事処へ行く。ここでは四万川を見ながら、四万温泉の湯で蒸しあげた湯むし鰻重(1,980円)や、温泉水を使用した温泉雑炊(950円)という温泉地ならではの食事を堪能できる。今回は温泉雑炊を食したが、出汁や調味料の味とは違う、温泉水ならではの塩気が、雑炊の味に深みをもたせ、なんとも優しい味わいであった。胃腸に効くという文句に負け、何杯でも食べてしまいそうだ。

 お腹いっぱいになったところで、今夜の宿泊先である四万たむらへ。坂道の上に位置している四万たむらはとても展望が良く、四万温泉の自然を満喫することができる。足腰が弱いという方は、四万温泉到着時にバスを出迎えてくださる番頭さんにお願いをすると、たむらの入口まで車を出してくれるので利用するのがいいだろう。料金はもちろん無料、なんともありがたいサービスだ。

 四万たむらは完全放流式温泉であり、湧出量が推定で毎分1,600リットル、湧出温は73℃〜85℃とのこと。なんと客室の暖房は温泉の熱を利用しており、エアコンを付けずとも室内はとても暖かい。人間だけでなく地球にも優しい旅館なのだ。

 そして、この旅館の一番の楽しみと言えば、やはり全10箇所のお風呂を利用することができることだろう。滝を見ながら入浴できる露天風呂「森のこだま」。古くは湯治場として利用されていた花湧館にある「翠の湯」。ご家族やグループで利用できる貸切風呂「クリスタル」(事前予約が必要)。1階が男湯、2階が女湯と吹き抜け構造になっている大浴場「甍の湯」。川の水かさが増すと水中にかくれてしまう幻の湯「竜宮」。香りが豊かな檜風呂「御夢想の湯」。美しい自然を堪能できる庭園露天風呂「甌穴」。蒸し風呂、打たせ湯のある「岩根の湯」。さらに姉妹館である四万グランドホテルの展望大浴場「メルヘンの湯」、大浴場「岩船の湯」、露天風呂「室生の湯」にも入浴することができ、合計10箇所となる。ちなみに、どの湯も泉質は同じでナトリウム、カルシウム/塩化物・硫酸塩温泉(中性低張性高温泉)となっており、胃腸病、リウマチ性疾患等に効くという。さらにありがたいことに、客室には檜風呂が設置されており、部屋でも温泉を堪能することができる。

 気をつけたいところとしては、どのお風呂も隣り合っているわけではないため、一度身体を拭いて、浴衣に着替え、次のお風呂に移動する必要があることだ。お風呂によっては別棟への移動となるため、計画性を持って効率よく入浴することが求められる。もちろん、湯冷めや湯あたりにも十分注意しなければならない。

 やはり特筆すべきは露天風呂「森のこだま」だ。大浴場から続く小道を渡っていくと、「森のこだま」に到着。扉を開ければ、そこは大自然の中にまるで浮かんでいるかのような檜風呂。目の前には滝が流れ、四万の自然を十分に満喫しながらの入浴ができるのだ。さらに、この時期ならではの光景として、雪の積もった枝を器用に渡り歩いていく可愛いニホンザルを間近で見ることができ、子供はもちろん大人も、その愛らしい姿にすっかり癒される。豊かな自然の中で入るお風呂はまた格別であった。

 上野から約2時間半で味わえる極上温泉時間。温泉三昧の休日を過ごすことができるだろう。

四万たむら玄関

四万たむら門扉

四万たむら内部

ニホンザル

お風呂案内板

飲泉所

飲泉所


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
群馬県吾妻郡中之条町四万4180 1,680円 × 宿泊客は24時間利用可
日帰り入浴は10:00〜15:00
無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年1月10日(日)・11日(月)



 
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