草津温泉とは、温泉とスキーが合体した、日本独自のリゾート地である。その温泉の歴史は古く、日本武尊の時代、あるいは行基の時代、あるいは源頼朝の時代まで遡ると言われる。そしてあまり知られていないが、草津国際スキー場には、日本初のスキーリフト、日本初のスキー学校、日本初のスキー大会という初づくしがあるのだ。ただ、野沢温泉と違い、ゲレンデと温泉街がかなり離れているのがスキー客としては少々かったるい。それにゲレンデはどちらかというと初級者・中級者向けだ。 草津の地名の由来については、2つの説があるらしい。ひとつは、大般若経に「南方有名是草津湯」とあるからとする説。もうひとつは、温泉の硫化水素のにおいが「くさうづ」と言われ、「くさつ」と変化したとする説だ。 草津温泉と言えば、湯畑。あの湯畑はそもそも何のためにあるかというと、熱すぎる湯温の調整と、湯の華の回収にあるのだという。なるほど、別に豊富な湯の量を見せびらかすためにあるわけではないのだ。 もうひとつの草津温泉の名物と言えば、あの温泉饅頭。しかし、今回の取材ではその販売方法に大きな疑問を感じた。温泉街を歩いていると、土産物屋の前で店の人が試食用のできたてほやほやの饅頭を丸まま1個配っているではないか。これはありがたいと思って饅頭を受け取ると、今度はもう一人の店員がお茶を差し出して行く手を遮るのだ。しかも、その人の表情は「ほら、お茶を飲まんかい。お茶を飲んだら、さっさと饅頭を買って行ってくれよな。」と言わんばかりの威圧感なのだ。熱いお茶を飲ませれば、通行人を店の前で立ち止まらせることができるとでも考えたのだろうか。強引な手法に温泉街の情緒も台無しである。 さて、草津温泉には数々の温泉宿があり、その多くが日帰り客も受け入れているが、今回紹介する温泉は、西の河原(さいのかわら)露天風呂である。温泉街の西の外れにある西の河原公園の奥にある温泉がそれだ。 西の河原露天風呂へ行く途中は、河原にいくつもある源泉池から出る湯気で、独特の雰囲気がある。足元は少々滑りやすいので注意しよう。 西の河原露天風呂は、その名の通り、露天風呂しかない。しかし、その大きさは500m2という巨大な岩風呂である。定員は、おそらく300人以上だろう。それだけのロッカーが用意されているのかどうかは知らないが。もちろん風呂は男女別になっている。 湯は草津温泉らしく大変熱く、ところどころに打たせ湯があるが、あまりの熱さに利用する人の中には悲鳴をあげる人もいる。一人の外国人もこれに果敢にチャレンジしようとしていたが、苦笑いをして去って行ったほどだ。 湯船の中にはところどころに島があり、池から這い上がった亀か蛙のように、入浴客らが体を冷やしている。露天風呂の底は平らに仕上げられており、砂や石ころは全くと言っていいほどないので、安心してよい。 もちろん、ここには露天風呂しかないので、洗い場なるものは存在しない。石鹸使用はご法度だ。あるのは露天風呂と、脱衣室のそばにあるあがり湯、それと数箇所の打たせ湯、隅っこにある小屋組だけである。 尚、西の河原露天風呂には、休憩ロビーはなく、休憩したい人は、隣のビジターセンター(入館無料)を利用できる。 ちなみに草津温泉は、酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型・酸性低張性高温泉)で、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、動脈硬化症、きりきず、やけど、虚弱児童、慢性婦人病などに効くという。 西の河原露天風呂の周辺は森林と川になっており、喧騒と雑音は一切聞こえない。混雑が嫌いな人は、平日の早朝をお勧めする。 |
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住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
群馬県吾妻郡草津町 大字草津521-3 |
大人500円 子供300円 |
× | × | 4月1日〜11月30日は 7:00〜20:00 12月1日〜3月31日は 9:00〜20:00 (受付終了は21:30) |
無休 |
※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2007年7月某日(日)