3日間吹き荒れた寒波の嵐は、この日収まるはずであった。天気予報は晴。確かに晴れていた。しかし、強風は朝になってもやまず、安比高原のリフトとゴンドラは、稼動を見合わせていた。今日は、太陽だけがむなしく輝くゲレンデであった。 リフトは9:00過ぎにやっと稼動を開始し、我々取材班は取材の合間のスキーを楽しんだが、取材のことを忘れているわけではない。今回紹介する温泉は、この安比高原スキー場のすぐ近くにある、岩畑の湯である。 岩畑の湯は、安代林業センター内にある温泉である。安代林業センターと聞けば、林業産業振興のための商工施設だろうとお思いかもしれないが、これは会議室、宴会室、研修室、レストラン等を備えた宿泊施設である。林業の町にふさわしく、木をふんだんに使用した木造の施設になっている。 このあたりには複数の温泉があるが、温泉宿で、日帰り入浴も可能で、安比高原のゲレンデに直結している宿泊施設は、安比高原直属のグランドアネックス以外にはここしかないだろう。我々取材班が岩畑の湯を訪れた時も、ゲレンデから戻ってきた宿泊客が、スキー乾燥室に入ろうとしていたところであった。 さて、岩畑の湯は、意外に小ぢんまりとした温泉であった。ゲレンデに近いので、さぞかし日帰りの入浴客が多いだろうと思っていたが、そういう客は皆、グランドアネックスに直結しているパティオへ行くのだろう。ここにいるのはほとんどが林業センターの宿泊客である。 浴室はシンプルで、定員15名ほどの大浴槽と、定員2名ほどの水風呂、7箇所の洗い場、定員5人ほどのサウナという構成である。露天風呂はない。 大浴槽は気泡もマッサージ流もないシンプルなものだ。湯温は適温。外は一面の雪景色である。サウナは室内温度96℃。水風呂は恐ろしく冷たい。洗い場にはシャンプーとボディーソープが完備。 浴槽に浸かりながら、天井を見上げると、大きな木の梁が見える。さすがは林業センターである。木を見せる、いや魅せるのがこの施設の役割である。ただ、浴室内の仕上げには木はほとんど使われておらず、壁がタイル貼、床と浴槽は石貼であった。 ちなみに、岩畑の湯はナトリウム・カルシウム−硫酸塩泉(低張性中性高温泉)で、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進に効くという。 安比高原と言えば、快適そうな都会派の高層のホテル郡を思い浮かべるが、そういうものに魅力を感じない人や、日本のスキーはやっぱり温泉宿に限ると思っている人には、岩畑の湯は貴重な存在であろう。 入浴料:大人500円、小人200円、未就学児無料(宿泊者は無料) |
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住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
岩手県八幡平市安比高原119-5 | 500円 | ○ | × | 平日12:00〜20:00 日祝日10:30〜20:00 |
無休 |
※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2008年12月29日(月)