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野沢温泉 温泉健康館
(Nozawa Onsen Onsen Kenkoukan)



 日本のスキー場は素晴らしい。スキーの後の温泉があるからだ。その温泉も、ホテルの中にあるゴージャスでスマート、機能的なものではなく、日本らしい、昔ながらの、古びた、そして伝統のある、風情のある温泉である。
 しかも、その温泉街には、神社、足湯、野沢菜、温泉まんじゅう(当地では「まんぢう」と書く)、麻釜(「おがま」と読む)などといったアイテムがあれば、完璧である。スキーウェア姿の人々と伝統的な温泉街は、ミスマッチでありながらベストカップルなのである。
 そう、今回紹介する温泉は、野沢温泉。日本には、野沢温泉、草津温泉、蔵王温泉という3つの至宝がある。私が言っているのは単なる温泉の至宝のことではない。温泉とスキー場のベストカップルの至宝のことである。
 野沢温泉と言えば、温泉街に十数か所ある「外湯」が有名である。野沢温泉で言う「外湯」とは、無料で入ることができる共同浴場のことである。しかし、スキーシーズンの夕方にもなれば、外湯の脱衣室は超満員。しかも、こういった外湯には洗い場はなく、洗面器すらないところも多い。もちろん駐車場はない。こういうところへ行くなら、昼間に行った方が良いだろう。それに、体を洗おうなどと考えないことだ。じっと湯船に浸かって、その湯を楽しむ。体を洗うのは別のところですれば良い。「湯治のための施設」と書けば、その理由も納得できるだろう。
 外湯には思い出がある。小学生の頃、兄と2人でスキーツアーに参加した。夜になり、コーチが子供達を外へ連れ出す。どこへ行くのだろうと、暗闇の足元の悪い雪道を進むと、ほのかな明かりの中に共同浴場があった。しかし、中には番台はない。無料で入れる温泉が世の中にあるとは本当に驚きだった。しかもスキー場に。静かな夜だった。この静かな時間、ほのかな明かり、温かい湯、空間を埋め尽くす白い湯気が我々を包み込んでいた。野沢温泉は永遠に私の心に刻み込まれた。
 今回紹介するのは、これらの外湯ではない。野沢温泉の公共浴場で2つだけ有料となっている温泉のうちの1つ、「温泉健康館」である。
 温泉健康館には、見ての通りの見事な「湯」のロゴが。これが今の野沢温泉のシンボルである。湯に自信が溢れている。当然入る者の気分も高鳴る。ところで、温泉健康館の駐車場は大変狭い。できれば、徒歩で行くのが良いだろう。
 さて、中に入ると、浴室が2つに分かれていることに気づく。1つは内湯。もう1つは露天風呂とサウナ、水風呂だ。どちらも捨てがたい。しかし、両方の浴室は裸のまま行き来ができない。つまり、一度服を着てから館内を移動しなければならないのだ。なんとも面倒くさい。悩みに悩んだ挙句、両方とも入ることにした。もちろん、両方とも入っても値段は同じである。
 まずは内風呂。中は広々としている。但し、洗い場は9箇所しかない。これでは少なすぎる。リンスインシャンプーとボディーシャンプーは完備。浴室内は段差が多いので、足元に注意して歩こう。
 問題は一番奥にある寝風呂「寝湯」と「箱蒸し」である。寝風呂は非常にぬるい温度になっており、居眠りをするにはもってこいである。肘掛もある。しかも、正面が明り取りの窓になっていて眩しいために思わず目を閉じてしまう。これで深く清らかな眠りにつけるというわけだ。スヤスヤ、、、。
 次に、箱蒸し。1人分の個室サウナのようなものが2個ある。これに体を入れ、顔だけを外に出す。外から見ていると拷問を受けているようにも見え、実に滑稽だ。
 内風呂には、その他に、打たせ湯、圧注浴、大風呂がある。
 次は露天風呂へ移動。露天風呂は15人くらいのキャパシティーを誇るが、内湯から離れているので、比較的空いている。サウナも貸し切り状態だった。サウナは温度計が96℃を指しているが、ストーブが上部に設置されているせいか、あまり熱く感じない。試しに上段へ上がるとそこそこ熱かった。サウナマニアは上段へ上がるべし。そしてサウナマニアに吉報!それは水風呂である。恐ろしく冷たい水風呂は、肌を引き締め、心臓も止めてくれるかもしれない。拍手喝采である。お〜冷たい。ブルブル、、、。
 野沢温泉。日本の至宝は、これからもスキー客を陶酔させ、魅惑し、引き付け続けていくことだろう。日本のスキー場万歳!ああ、日本人に生まれてよかった!
 ちなみに野沢温泉の泉質は場所によって微妙に変わるらしいが、この温泉健康館の湯は、含硫黄−ナトリウム・カルシウム−硫酸塩温泉(低張性アルカリ性高温泉)で、神経痛、筋肉痛、関節痛、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、慢性婦人病、動脈硬化症、きりきず、やけど、糖尿病に効くという。

大人1,000円、小人500円、3歳未満無料(この料金は1日あたりの料金である。つまり、出入は自由である。)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
長野県下高井郡野沢温泉村 1000円 × 10:00〜19:00 木曜日(祝日の場合は営業)

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2007年2月17日(土)



 
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