朝日湯
(Asahiyu)




朝日湯全景
 下関の銭湯、第2回目は城下町・長府に唯一残る銭湯、「朝日湯」である。長州の城下町といえば、萩が有名であるが、ここ長府も長府毛利藩が置かれた小さな城下町である。私は、この町で生まれ育った。歴史ある神社仏閣、土塀や武家屋敷が残る趣きあるたたずまい等々。離れてみると、その良さが帰るたびに感じられる。今回は、町のスナップとともに「朝日湯」を紹介してみたい。


 朝日湯は、町のランドマーク・忌宮神社を中心に広がる「長府商店街」のメインストリート、通称乃木さん通り(長府は乃木大将の生まれ育った場所であるため)から一本路地を入った場所にある。この場所は、昔、瀬戸内の海岸がすぐ近くにあったためだろうか、一歩路地を入っただけなのになんとなく「浜」の空気を感じる。


 左手に朝日湯が見える。一枚板に立派な筆文字で書かれた「朝日湯」の看板。羽子板のような板に書かれた「男湯」「女湯」の看板や玄関のひさしが心憎い。最近、外観を改築したのだろう。「これからも銭湯やってくよ! 」という心意気が伝わってきてうれしくなる。


 室内は、改装していないようで、昔ながらの番台形式、板の間の脱衣所の中心には、赤ちゃんの着替え台が置かれている。定番のお釜ドライヤーと丸かごもあった。


 浴室の天井は、煙突型をしているため、意外と高く感じ開放感がある。中心に関西式の一番広い浴槽があり、奥に小浴槽がある。定員約3名の小浴槽は、バスクリン色をしておりお湯はかなりぬるめ。この「ぬるめ」が人気らしく、おばちゃん2人が身振り手振りをまじえながら10分以上もおしゃべりしていた。常連さんによると、大浴槽はいつも湯が熱いらしく、浴槽の中でもぬるい場所を選んで座っていると話してくれた。


 暮れも押し迫った12月30日に訪れたため、番台の奥さんにも忙しそうであまり話は聞けなかったが「この銭湯は、自分がお嫁に来た45年前には営業していた」ことを教えてくれた。


 長府の町に唯一残る銭湯、「朝日湯」。いつか、この町とともに生きてきた銭湯の歴史を聞いてみたいと思った。


看板はもちろん、玄関のひさし、壁の作りが心憎い!

朝日湯煙突

指を入れるとポロポロッと赤土がでてきそうな味わいのある練塀。この土塀をみると地元に帰ってきた気持ちになる。しかし、維持管理が難しいのか民家の土塀が町からどんどん消えていくのがさみしい。

土塀と家
町全体で残してほしい文化財です

朝日湯前
2階の欄干に注目

垣根の美しい小道
歩くのが楽しくなる


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
山口県下関市長府金屋町5-1 360円 × × 15:00〜21:30 月曜日

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2008年12月30日



 
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