明星場
(Myoujouyu)



 奈良時代、各国々にその国を治める「国府」という役所が置かれた。現在の山口県の瀬戸内海に面した地域「周防国」では、この防府(ほうふ)市に国府が置かれた。であるから、この「周防の国府」が防府市の市名の由来ということらしい。

 防府には国指定の名勝、毛利家の庭園や屋敷、博物館があり、歴史を感じさせる町である。

 今回紹介する明星湯は、JR防府駅北口からすぐの便利なところにある小さな銭湯だ。

 「小さな」と書いて失礼だったかもしれないが、これはあくまで東京の銭湯と比較しての話。この「小ささ」はたぶんこの防府では丁度良い大きさなのだろう。

 駅前とは言え、ちょっとした商店があるくらいで、付近はおおむね低層の住宅街であり、大変静かなところである。

 入口の暖簾をくぐると、右手に番台がある。脱衣室はロッカーが15個。ロッカーの数が少々少ないので、籠も数個置いてある。飲み物の販売は、牛乳が90円、コーヒー牛乳とクロレラ乳酸菌が100円、ポカリスエットとファイブミニが110円だ。良心的な価格である。

 浴室に入る。浴室も脱衣室と同様こじんまりとしている。洗い場は8箇所しかない。天井はあまり高くないが、発生した蒸気が円滑に排出されるようにと、ドーム型の天井になっている。そして、天井の端にはきちんと「とい」が設置されており、このドーム型の天井で結露した蒸気が、天井面を滑り落ち、洗い場や浴槽の方にポタポタと落ちることがないようになっている。細かい配慮である。

 浴槽は結構充実している。一番大きいのは普通の浴槽で、浅風呂と深風呂とが一体になっている。泡は出ていない。湯温は定かではないが、結構熱いと思う。この浴槽の右側に「低周波電気風呂」、左側に「芳香薬湯」がある。電気風呂には入らなかったが、薬湯は、誰かが薄めたのか、ちょっとぬるめになっていた。これくらいが私には適温だ。

 4つ目浴槽はもちろん水風呂である。「冷水浴泉」と名づけられたその水風呂は結構水温が低い。手を入れただけで私はギブアップである。

 サウナに入る。サウナは蒸気サウナである。定員2人といったところか。サウナには屋根があり、ちゃんと瓦まで取り付けてあった。

このサウナと水風呂、電気風呂、薬湯を交互に繰り返し入っている地元常連客を2人見た。たぶん彼らの日課なのである。毎日これを繰り返していれば、健康に違いない。

 それにしてもサウナ込みの入浴料が320円とはお得ではないか。今日はこの銭湯の近くのホテルに宿泊しているのだが、とてもホテルの狭いバスルームでくつろぐ気にはならない。芳香薬湯に浸かりながら、防府に来て、明星湯まで足を伸ばした甲斐があったと思った。

(番台様、取材へのご協力ありがとうございました。)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
山口県防府市八王子1-23-2 320円 × 16:00〜22:00 毎月4日、
14日、24日

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2004年10月7日(木)



 
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