玉造温泉 ホテル玉泉
(Tamatsukuri Onen Hotel Gyokusen)



 今回紹介する温泉は、奈良時代初期に開かれ、日本最古の歴史を持つという玉造温泉。神代の少彦明命が発見したと言われている。出雲の風土記には、「ひとたび濯げば(すすげば)形容端正しく(かたちきらきらしく)、再び浴(ゆあみ)すれば万の病ことごとに除こる(一度洗えば肌がしっとりとすべすべになり、二度入ればどのような病気もことごとく治る)」とあり、玉造温泉の素晴らしさが表現されている。
 この辺りには花仙山(かせんざん)という山があり、古代の頃はメノウの産地であった。このため、この地に勾玉(まがたま)などの玉類が製造されるようになり、朝廷にも献上された。玉造という地名はこんなところから来ているようだ。
 玉造温泉の効能は「美肌効果のカクテル」と呼ばれるほどである。通常、温泉の美肌効果には3種類があるらしい。炭酸水素塩泉は肌の角質を取り除いてくれる「クレンジング効果」、硫酸塩泉は肌にハリと潤いを与える「アンチエイジング効果」、硫黄泉は代謝促進と血管拡張による「美白とデトックス効果」の3種類だ。
 玉造温泉の場合、弱アルカリ性で「硫酸塩泉と塩化物泉が絶妙にブレンド」されている温泉であるため、クレンジング、ハリ、保湿の効果があるという。まさに肌の救世主と呼べるであろう。
 玉造温泉の街は単純である。一本の川があり、その両側に温泉を備えたホテルが建ち並ぶ。そしてその突き当りに、「玉作湯神社」があるという具合だ。ただ、温泉街は土産物屋や射的といったワクワクするようなものは皆無で、メノウの専門ショップ、複数の足湯、玉造温泉で唯一の日帰り温泉施設「ゆ〜ゆ」があるだけである。したがって、外湯巡りと言ったものはなく、温泉は基本的に宿泊先を利用することになる。
 ホテル玉泉(ぎょくせん)は、ちょうど温泉街の入口付近にある大規模なホテルだ。温泉は巌(いわ)の湯と檜の湯の2種類があり、毎日男女が入替となる。したがって、宿泊客は1泊すれば1日目と2日目は別の風呂に入れるというわけだ。
 まずは巌の湯を紹介する。浴室の中は小屋組みがあり、その下に洗い場が27か所、シャワーブースが2か所配置されている。各洗い場は石板の仕切りで区画され、シャンプー、ボディーソープ、リンスが具備されている。椅子と桶は木製で、椅子の高さは洗い場に合わせて特注で作られているようだ。
 内湯は洗い場の横に配置され、長細い形になっている。40人はゆうに入れる巨大な浴槽だ。露天風呂は内湯ほど広くないが、やはり大きい。滝があり、浴槽のすぐ近くまで川が流れて来るが、それは水なので間違って入らないようにしよう。この滝と川のおかげで、浴槽が大きく見える。浴槽には打たせ湯が2か所あり、肩にマッサージ流を当てることができる。湯温は適温だ。
 サウナは定員6人で室内温度は60℃。残念ながら水風呂はない。
 一方檜の湯は、洗い場が26か所であること、岩風呂が檜風呂になっていること、うたせ湯がないこと以外に巌の湯との違いはない。
 ホテル玉泉は、規模、質ともに十分満足できる温泉を備えた格式のあるホテルだ。


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
島根県松江市玉湯町玉造53-2 (宿泊者
のみ)
× 5:00〜24:00(宿泊者のみ、サウナは15:00〜) 無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年8月9日(月)



 
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