喜代の
(Kiyonoyu)



 今回も和光市の銭湯・喜代の湯を紹介する。実は和光市には銭湯が2箇所しかない。つまり、今回の2回目が和光市銭湯紹介の最終回となる。少々あっけないが、和光市の銭湯は2箇所ともが立派な破風造りであり、その堂々とした建物はずっと残っていて欲しいと思うようなものだった。

 喜代の湯は、広い駐車場を持った銭湯である。そして、この辺りはほんの少し前までは田園地帯だったということが実によくわかるような土地柄である。畑や果樹の木(みかんが多い)がそこらじゅうにあるが、これを住宅地が侵食し、人が多く住む町に発展してきたようだ。

 喜代の湯の開店は16:00。しかし、15:30には、もう既に数人の常連客が入口に陣取っている。そのうちの一人が私に言う。「銭湯は少なくなったからね。私はもう40年も銭湯に通っているんだよ。最近までは和光市の駅前にも銭湯があったんだがねえ。」と。15:50頃開店。

 番台様も言う。「銭湯は珍しいだろ。どんどん銭湯がなくなっているからな。これからもどんどんなくなるだろう。子供達が「銭湯ってナニ?」と言う時代が本当に来るのかもしれない。」少し寂しげだが、私も少なからず同感である。そして、今こうして子供達を連れて銭湯へやってきている。私の子供達はもうかなりの「銭湯通」である。

 どう銭湯通かというと、「今日の湯温は少しぬるめ。」とか、「こっちの湯船は深い。」とか、いろいろと経験したことを基に、その日の銭湯をうまく感じ取っている。立派に「銭湯一人前」である。

 脱衣室には、ロッカーが20個しかない。ロッカーの代わりに大きな籠が30個くらい置いてあるのでこれを使う。ロッカーがない分、脱衣室はとても広々としている。脱衣室には、飲み物の販売はないが、石鹸類の販売はある。ドライヤーの利用料は10円である。マッサージ椅子はない。

 また、脱衣室には、詩人・田村隆一のものと思われる詩が掲げられている。埼玉県の銭湯にはどこでも必ず掲げられているのだろうか。

 浴室に入る。洗い場は27箇所。その他にシャワーブースが2箇所ある。壁画は富士山。しかし、富士山の山頂は男湯側にあり、女湯側は少々寂しげな構図である。浴槽は浅風呂と深風呂。浅風呂、深風呂ともマッサージ風呂になっており、浅風呂は背中と腰への水流、深風呂は背中と腰に加え、足の裏への水流もある。

 浴槽の湯温は40.5℃。私の子供が言ったように、ぬるめである。しかも今日は薬湯。浴槽にゆっくりと浸かることができた。長湯は気持ちいい。

 喜代の湯は古い建物であるが、内装・外装ともに改装の手を加えているようだ。特に珍しく思ったのは、外装に吹き付け塗装を用いているところだろうか。破風造りと吹き付け塗装。ちょっと不釣合いな気はするが、建物を長持ちさせて欲しいと思う。

 外に出るともう薄暗い。秋が深まってきた。長湯が楽しみな季節になってきたようである。

(番台様、取材へのご協力ありがとうございました。)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
埼玉県和光市新倉2-5-36 410円
(2006年
12月26日
改定)
× × 16:00〜23:00 毎月8日、
18日、28日

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2004年10月31日(日)



 
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