苗場温泉 雪ささの湯
(Naeba Onsen Yukisasanoyu)



 フジロックフェスティバル(略して「フジロック」)をご存知だろうか?毎年7月下旬または8月上旬の3日間(金曜日から日曜日までの3日連続)、苗場スキー場にて開催され、国内外の人気アーティストが一堂に会するロックコンサートのことである。来場観客数はおよそ12万人。日本全国はおろか、外国からも大勢の観客が訪れる。苗場スキー場全体をくまなく使用するフジロックでは、主なステージだけでも6つ設けられ、入場ゲートから最も遠いステージまでは徒歩30分以上かかる等、とにかくスケールが大きい。

 観客のうち、約1万7,000人は苗場プリンスホテルの後方にテントを設営し、フジロック開催期間中を過ごしている。近隣の宿はもちろん多数あるが、徒歩圏内を確保するのは至難の業であり、多くが越後湯沢駅周辺の宿に泊まることとなる。フジロックは朝10時過ぎから明け方近くまで、ほぼ24時間、会場内のどこかで何らかのライブが行われているため、なるべく多くのライブを楽しみたい観客はその利便性からテントで過ごすことを選ぶ。

 キャンプサイトとして開放されている場所は、本来スキー場であるため、斜面も多い。そこで、多くの利用者は開催前日の木曜午前中から苗場に入り、少しでも平らな所へテントを設営するべく場所取りを行う。すなわち、開催期間も含め4泊5日のテント生活となる。

 キャンプサイトには専用のシャワー室(無料)と温泉(有料500円)が設けられており、キャンプサイト利用者はいつでも利用することができる。ただし、朝晩の混雑はかなりのもので毎日大行列ができてしまう。

 そこで、今回はキャンプサイトから徒歩圏内にある「雪ささの湯」を紹介しよう。「雪ささの湯」はフジロック開催期間中のみ24時間営業となり、テント泊の観客にとってはとてもありがたい施設だ。

 場所は、キャンプサイトの入口を出て直進し、突きあたりの三国街道を右に曲がり、緩く続く上り坂を歩くこと15分程度のところにある。地図は無くとも、道中に黄色の大きな看板をいくつか見つけることができるので道に迷うことはないだろう。

 靴を下駄箱に預け、事前にホームページからプリントアウトしたWEBクーポンを渡すと、大人は1人200円引きで利用できる(小人は対象外)。また、バスタオル、フェイスタオル、歯ブラシ、剃刀も、有料とはなるが利用可能であるため、これらを持参していなくても安心だ。

 浴室には洗い場(シャワー)が11箇所あり、露天風呂の隣にも屋内の洗い場8箇所(うち1箇所は立って使用する)が設けられているため、計19箇所となる。また、洗い場にはボディーソープとリンスインシャンプーが設けられているため、これらも持参する必要はなく、安心だ。

 内湯と露天風呂はどちらも、硫酸塩温泉が用いられており、茶褐色のにごり湯からは、ほのかに鉄分の香りがする。この泉質は腰痛や筋肉痛に効くとのことで、一日中ステージ間の移動のため苗場の斜面を登り降りした足腰には大変ありがたい効能だ。また、女湯には露天風呂の隣に、低温のジャグジーが設けられており、日焼けで火照った肌を優しくマッサージしてくれる。

 湯上がり後には、ドライヤーが完備されたパウダールームにて、椅子に腰かけて日焼け後の肌の手入れを行うことができる。仕上げには虫除けのシートで身体を拭く等、虫対策も忘れないようにしたい。

 風呂を出た後は、座敷休憩所で大画面テレビを見ながらゆったりと休憩。明け方ともなると仮眠を取る人も多数現れる。それほど居心地が良いという証拠だ。

 100人いれば100人の楽しみ方があるのがフジロック。寝起き、徹夜明け、日中、夕方、就寝前等、いつ入浴するのかも当人次第。タイムスケジュールを見ながら、うまく時間をやりくりして、それぞれに楽しみたい。

 フジロック観客が利用することを前提で記してしまったが、当然ながら観客以外も利用でき、フジロック期間中も同様である。事実、取材班が入浴した日にも常連客と思しき人が数名いた。ここは日頃はもっと静かな場所なのであろう。常連客は若者達で混雑していることに驚きつつも、ゆっくりと入浴していた。

 苗場の大自然の中、身体を休める場として、ぜひ「雪ささの湯」をお勧めしたい。特にフジロック観客には強くお勧めしたい場所である。

大人(中学生以上)800円、小人(小学生以上)400円


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
新潟県南魚沼郡湯沢町三国355 800円 × × 9:00〜22:00(フジロック開催期間中は24時間営業) 冬期は無休、夏期は毎週木曜定休日(フジロック開催期間中は無休)

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年8月1日(日)



 
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