信州あづみ野 穂高温泉郷 しゃくなげ荘
(Shinshu Adumino Hotaka Onsenkyou Syakunagesou)



 ゴールデンウィークである。今日は安曇野市の穂高温泉へやってきた。この時期、安曇野の農家は田植えの真っ盛り。そして、東京ではとうの昔に散ってしまった桜が、ここではまだ満開か葉桜の状態だ。北の方を見れば、残雪の残る北アルプスが春の日差しの下で光り輝いている。
 穂高温泉郷は、松林の中にある静かな所だ。穂高温泉郷の中心部と思われるロータリーの近くには無料の足湯があり、30人ほどが足湯を楽しんでいる。今回紹介するしゃくなげ荘は、このロータリーのすぐ近くだ。しゃくなげ荘の隣には、温泉健康館という名の日帰り入浴施設もあり、入浴料はしゃくなげ荘と同じ。どちらを選ぶか迷ってしまうかもしれない。
 しゃくなげ荘は100名収容の古い宿泊施設だ。もちろん日帰り入浴も可能である。毎月4日、14日、24日は市民の日ということで、安曇野市民なら入浴料が半額になり、宿泊料も通常8,450円(1泊2食付)のところが5,000円になるという。東京から来た我が銭湯愛好会には関係の無いことだが・・・。
 さて、浴室へ入る。浴室はなぜか2部屋に別れている。恐らく、手前が古い浴室で、奥が増築部分ではないだろうか。手前は築30〜40年以上、奥の方でも20年近くは経っているであろう。
 客らはなぜか奥の方へ集中しており、手前には誰も居ない。この理由はすぐにわかった。手前の浴槽は熱い湯になっており、奥の方が通常の温度の浴槽だからだ。手前の浴槽の中へ足を突っ込んでみたら、恐ろしく熱い。46℃はゆうにあると思われる。しかし、場所を選べばそれほど熱くは無い。44℃くらいだろうか。
 奥の浴槽は42〜43℃くらい。適温である。浴槽は岩風呂であり、野性味溢れた造りだ。岩の上に腰を下ろして体を冷やしたり、浴槽に入ったりを繰り返しているうちに、心は穂高温泉郷の松林と一体化し、その中に溶け込んでいく。耳を澄ませば、取材班の一人が、NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」のテーマ曲を口ずさんでいた。彼の心もまた、松林の中をふわりふわりと歩いていたに違いない。
 洗い場は手前が12箇所で、奥が8箇所。リンスインシャンプーと固形石鹸は完備されている。サウナ、水風呂、露天風呂、上がり湯等はない。
 穂高の辺りは特に美術館が多い所だ。ガラス工房もある。これらを巡って芸術を楽しんだ後は、温泉で汗を流し、ゆったりとくつろぐ。日本ならではの芸術鑑賞の方法だ。加えて、この時期なら山菜、残雪、桜も楽しめる。しゃくなげ荘なら、馬刺し、岩魚、蕎麦等の郷土料理も堪能できる。
 都会の喧騒を忘れてぶらぶらと歩き回ったり、自転車で清涼で爽快な風を感じながら、安曇野を走るのもいい。ゴールデンウィークは、仕事のことも忘れて、ひたすら「心身蘇生」がいい。
 ちなみに、しゃくなげ荘の湯は、アルカリ性単純温泉(アルカリ性低張性高温泉)であり、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進に効くという。
 しゃくなげ荘は、人を生き返らせてくれる。そんな温泉だ。

大人(中学生以上)400円、小学生200円、未就学児無料


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
長野県安曇野市穂高有明7722 400円 × × 9:30〜21:00(最終受付20:00) 第3水曜日

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年5月1日(土)



 
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