Go to English page

ホテル 対岳館
(Hotel Taigakukan)



 正月から公開されている映画「銀色のシーズン」をご覧になっただろうか。「銀色のシーズン」は、日本映画久々のスキー映画である。「私をスキーに連れてって」から20年。ついにスキーヤー待望のスキー映画が登場したのだ。しかし、「銀色のシーズン」の監督・羽住英一郎氏は、スキージャーナル誌のインタビューで、「スキー映画だが青春娯楽大作だ」と言っている。監督が伝えたかったのは、単なるスキーの楽しさではなく、「挫折することへの許容」、そして「人生は何度でもやり直せる」ということらしい。「根性があるならやってみろ」がこの映画に込められたメッセージだ。
 この「銀色のシーズン」は白馬村を中心に撮影された。おかげで、昨シーズンの白馬村は、撮影への協力でかなり沸き立ったようだ。そんなロケ地の1つが、今回紹介するホテル・対岳館である。
 対岳館の歴史は古い。その始まりは1933年。当時は丸山与兵衛氏が山岳ガイドとして、客たちを自宅でもてなしていたという。これが日本の民宿の始まりだったとも言われている。1937年、対岳館は警察の許可を取って本格的な山岳旅館となり、たくさんのアルピニスト、スキーヤーを魅了してきた。
 即ち、対岳館の歴史は白馬岳の歴史の一部でもあり、対岳館が八方尾根の歴史を作ってきたと言っても決して言い過ぎではないだろう。
 この対岳館、正直言って外観は古臭くてあまり魅力的ではない。しかし、中に入るとそのイメージは一変する。中は落ち着いた雰囲気で、木を基調とした山岳的空気に満ち溢れた空間だ。窓際には、古いスキー用具、登山用具が並べられ、このホテルの歴史の長さを静かに語っている。フロントの奥には、本格的なバーらしきものも見えた。
 さて、対岳館の温泉は、106名収容のホテルにしては、かなり小さいかもしれない。洗い場は7箇所しかなく、内湯浴槽は定員6名ほどの大きさ、露天風呂浴槽は定員4名ほどの大きさしかない。サウナは露天風呂側にあり、定員4名ほど。水風呂はない。従って、サウナに入った後は、露天風呂で体を冷やすのが良いだろう。
 このように決して広いとは言えない浴室であるが、内湯は八方温泉、露天風呂は塩の道温泉を使用しており、一度で2度美味しい温泉となっている。両方の温泉を比べながら楽しむことができよう。私のお気に入りは、塩の道温泉。口に含むとしょっぱい味がする。色は濁った薄茶色。一方、八方温泉は無色透明。スキーで疲れた体を、温泉がやさしくほぐしていってくれる。
 思えば、初めて八方尾根を訪れたとき、あまりもの人の多さ、あらゆる場所に発生するコブに圧倒された。今は、朝一番のきれいに整地された斜面をかっ飛ばし、ギンギンにカービングで攻めている。その後は、次第に斜面がゆるんで荒れてくるので、黒菱、兎平、北尾根のコブを攻略。あまりものコブの激しさに、某年の正月は腰痛になって1ヶ月ほどスキーができなくなるほどだった。かかりつけの整形外科医によれば、「背骨が折れているかもしれませんな。」「そんないい加減な診察に金を払えるか!」と思いつつ、寝返りすらできない状態から1ヶ月でスキーができる体に必死で戻す。スキーシーズンはあっという間に終わってしまうからだ。その整形外科医曰く、「恐ろしい回復力ですな。」病気は気で直すという言葉がある。八方尾根は、まさにそれをかなえてくれる存在だ。
 対岳館は、今日もスキーヤーに問う。「お前、必死でスキーをしているか?命をかけているか?人生をかけているか?体をいじめているか?のどから渇きを感じるほど、ぶっ飛ばしているか?3度の飯よりスキーか?その滑りはお前の最高の滑りなのか?明日がなくても今の滑りがあれば満足なのか?涙が出るほどスピードを出したか?鋭い2本のシュプールを残したか?コブを叩きのめしたか?よーし、ならば温泉へ入れ。」と。
 ちなみに、八方温泉は、アルカリ性単純泉で、神経痛、筋肉痛、五十肩、疲労回復、健康増進に効くという。一方、塩の道温泉は、ナトリウム・塩化物炭酸水素塩泉で、神経痛、筋肉痛、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、きりきず、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病に効くという。

大人500円、小人300円(宿泊客は無料)


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
長野県北安曇郡白馬村八方 500円 × 15:00〜22:00
(サウナは16:00〜19:30)
無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2008年2月10日(日)



 
 戻る
inserted by FC2 system