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奉納温泉
(Bunou Onsen)



 よー来はったな。わしはこの温泉の主、奉納の狸や。

 関西から旅をしてきたんやけど、この温泉が気に入ってしもうてのう、住み着いてしもうたんや。

 そうそう、「奉納」は「ほうのう」とは読まん。「ぶのう」と読んでくれや。なんで「ぶのう」やってか?そんなモン、人間が決めたことやから、わしは知らんわい。

 とにかくよー来なはった。3月やゆうのに雪がこんなに降るとはのう。でも、ここではスキー客は珍しいんやで。白馬にはたくさん温泉があるっちゅうのにやで、白馬から20kmも離れたこんな山奥に来てくれるとはのう。国道からは5kmも狭く険しい山道やったやろ。ほれほれ、犬も猫も鯉も皆大歓迎しとるで。ワンワン、ニャーニャー、ブクブク。

 ま、ま、中に入りなはれ。散らかっとってすまんのう。お世辞にもきれいとは言えんやてか?ま、それはそれとして、この温泉は温泉だけが売り物ではないで。この蜂蜜を見てみい。ここのご主人の自家製やで。

 そして、ここの料理も板前やったご主人が自ら作っておられるんや。泊まっていきなはったらええのに、温泉だけとはのう。ま、それでもええがな。さ、さ、温泉に入りなはれ。

 ほれ、この脱衣室は銭湯みたいやろ。ぶら下がり健康器はあるし、骨董級のマッサージ椅子もあるしな。但し、マッサージ椅子は女湯だけやけどな。ちなみにこれは最近は稼動しとらんがな。ま、そんなことはどうでもええ、浴室へどんぞー。

 どないや、この色は。湯が出ているとこ、見事に温泉の成分でコテコテになっとるやろ。それにこの蛇口から出てくる温泉は飲めるんやで。どや。しょっぱいやろ。これぞ温泉やがな。さ、湯に浸かろかい。

 おーあちちち。今日はまた熱いのう。ここの温泉は源泉の温度が低いからボイラーで加熱しとるんやけど、これはやりすぎやで。そういう場合のために、ほれ、ここにホースがあるわい。このホースでカランから注水すれば、万事OKや。

 アー、いい湯加減になってきよったわい。もうやめられまへん。あ、いやいや、お客さんもゆっくりしていきなはれや。ほなお先に。

 ウイップ。お客さん、温泉はどやった?え?湯上りはこれに尽きまっせ。これや。白馬錦でんがな。わしがいつも手に持ってるこれや。白馬の銘酒・白馬錦。これを飲まずして白馬から帰ろうなんて考えたらあかんで。え?飲酒運転になってしまう?ま、ま、そう言わず。だから泊まっていったらええ言うたんやがな。明日から仕事かいな。そら残念やな。

 ちなみに、奉納温泉の湯は、ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉(中性等張性低温泉)で、慢性消火器病、糖尿病、肝臓病、通風に効くんやで。

 今度来る時は、新緑の季節がええで。ここから見える白馬岳の眺めは最高や。

 ほなまた来てや。

 わしは当分関西には帰らんで。


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
長野県北安曇郡小谷村中土 500円 × × 8:00〜20:00
不定休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2007年3月17日(土)



 
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