奥湯河原温泉 京ゆば懐石 山翠楼
(Oku Yugawara Onsen Kyouyuba Kaiseki Sansuirou)



 湯河原の名は、このあたりの温泉が千歳川沿いに出ていたことに由来しているという。
 今回紹介するのは、奥湯河原温泉にある高級旅館・山翠楼(さんすいろう)である。この旅館は宿泊できる料亭という位置付けであり、その老舗ぶりは電話番号(0465-63-1111)を見ても明らかである。
 宿泊料金は、1泊2食付で最低でも25,350円であり、最もハイグレードの部屋になると84,150円、休前日は各部屋とも3,150円アップ、年末年始はさらに追加料金がかかる(すべて定価)。ちなみに「翠」という漢字はあまりお目にかからない字であるが、「木々の緑」といった意味である。つまり、この山翠楼は山々の緑に囲まれた旅館なのである。
 このような高級旅館の風呂を取材することになったのは、庶民派である当銭湯愛好会としては異例中の異例の出来事である。しかし、その経緯をここで言及するのはやめておこう。
 これだけ高級な旅館になると、その設備にはほとんど文句のつけようはない。但し、この旅館は増築に継ぐ増築を重ねている模様で、レイアウトはこの上なく複雑・怪奇である。酔っ払うと迷子になること請け合いである。特に、各部屋入口に冗長とも言える大きな前室があり、非常に贅沢な、悪く言えば無駄な造りになっているのだ。しかし、たくさんの中居さんに支えられ、迷子になっても目的地に達することができる。
 部屋にはユニットバスではない石造りの浴室が備えられているが、我々取材班は当然大浴場へ向かう。大浴場は2階にある。浴室の前には冷水器が置かれているので、風呂上りに利用できる。
 脱衣室は巨大である。脱衣場に加え、休憩室、洗面室、トイレ、貴重品ロッカーが備えられている。特に、和風の旅館では貴重品の管理に困ることが多いので、無料で利用できる貴重品ロッカーには重宝する。
 浴室に入ると、大きな浴槽が見え、その屋外に露天風呂、手前に洗い場が2箇所に分かれて設置されているのが分かる。仕上げは石を基調としたシックなもので、照明は暗めにしてあり、落ち着いた雰囲気になっている。露天風呂は深夜の利用が禁止されるが、客が怪我をしないようにするためであろう。
 洗い場が何箇所あるかは数えなかったが、リンスインシャンプー、ボディーソープ、固形石鹸が完備され、椅子、洗面器は重厚な木製である。湯船の湯温は、内湯が熱め、露天がぬるめであった。露天はあまり広くないが、周囲に大木があるので、露天らしい雰囲気である。同行した取材班のメンバーが「ここはマイナスイオンが多い。」などと敏感に反応していたほどである。ただ、露天風呂に至るアプローチに一部足を踏み込めない部分があり、このためにアプローチが非常に狭く感じる。しかも風除室もない。改善の余地があろう。
 山翠楼は、贅を尽くした懐石料理と上品な大浴場で、日常を忘却の彼方へ追いやってくれた。
 ちなみに、湯河原町役場のホームページによれば、湯河原温泉はナトリウムー塩化物・硫酸塩泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症などに効くという。


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
神奈川県足柄下郡湯河原町
宮上673
日帰り入浴
不可
× × 日帰り入浴不可
(宿泊客は24時間入浴可能)
無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2006年5月12日(金)



 
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