吉野湯
(Yoshinoyu)



 毎年夏休みは高松で過ごすことにしている。典型的な夏休み中の一日の過ごし方は以下の通りだ。7:00頃起床。8:00頃から屋島登山。屋島小学校から北嶺まで歩いて、実家へ帰ってくる。歩行距離は約9kmだ。汗だくになって帰ってきてシャワーを浴び、11:30頃からセルフうどん店でさぬきうどんを食す。かけうどんか、冷たいぶっかけうどんを2玉と、竹輪の天ぷらがお決まりのメニューだ。ゴマと天かすをてんこ盛りにするのが私の流儀だ。その後、どこかの温泉か銭湯へ取材に行って、夕食と翌日の朝食の食材を買って帰って、取材記録を書き、18:00頃夕食を食べ、21:00前には就寝。我ながら実に健康的な過ごし方であると思う。
 今日は、香川県下の銭湯で一斉にレモン湯が供されるとの情報を聞きつけた。というわけで、今日は温泉でもスーパー銭湯でもなく、普通の銭湯を取材することになった。
 今回紹介するのは、高松市の中心部に近い場所にある吉野湯だ。吉野湯は明治時代から続く古い銭湯だ。外観はモダンな雰囲気になっているが、番台はいまだ健在。浴室もオーソドックスな造りだ。
 今日はレモン湯だからか、マスコミ(瀬戸内海テレビ)が「KSBスーパーJチャンネル」向けのテレビ取材に来ている。浴室にテレビカメラを持ち込み、レポーターが浴槽に収まっている姿を撮影したり、ご主人や常連客にインタビューを行っている。もちろん我々取材班もインタビューを受けた。
 レポーターの質問は、「なぜ銭湯にわざわざ来るのか?」「レモン湯の感想は?」といったものだった。ご主人に対しては、「なぜ銭湯業を今まで続けてこられたのか?」と言ったことを聞いていた。
 「そこに山があるから」などという有名な登山家の言葉があるが、「そこに銭湯があるから」ではおかしいだろうか。銭湯。そこは広々とした空間で、理屈抜きに気持ちがいい。加えて、環境にも優しく、自分で風呂掃除をしなくて済む(この理由は少し不謹慎だったかも?)。人とのふれあいもある。「そこに銭湯があるから銭湯へ行く。」それで十分のように思える。そして「銭湯を愛し、銭湯へ来る客がいるから、銭湯業は続けられる。」客、ご主人、女将さん。これらの多くの銭湯人達が、銭湯の歴史を、すなわちこの日本固有の文化を継承してきたのだ。銭湯人は皆が歴史の創造者なのだ。
 さて、吉野湯の紹介に戻る。吉野湯の浴室は洗い場が10か所ほど。浴槽は4つの槽からなり、座風呂(1人分)、浅風呂、寝風呂(1人分)、水風呂、薬湯という構成になっている。薬湯はぬるめ、その他は熱めになっており、熱い浴槽にレモンが50個ほど浮かべられている。レモンの強烈な匂いがするわけではないが、ほのかな香りで爽やかな気分にさせてくれる。レモンを手にとってそれをぎゅっと絞りたくなったが、しかしそれはやめておいた。後で浴槽に入る客が「へなへな」になったたくさんのレモンを見たら、寂しい気分になってしまうだろうから。
 サウナは一番奥にあり、定員は見たところ4人くらいだろうか。サウナ追加料金70円というのは、実にリーズナブルな価格である。
 吉野湯のご主人も、番台に座る女将さんも、実に気さくな感じで親切な人達である。銭湯のカラーや雰囲気は、半分は客が作るものだが、残り半分はご主人と女将さんが作るものである。吉野湯は、そのおかげで居心地の良い銭湯である。

大人(中学生以上)360円、小学生150円、幼児60円、サウナ追加料金70円

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住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
香川県高松市城東町1-2-10 430円 未確認 13:00〜24:00 毎月27日

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2009年8月14日(金)



 
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