和倉温泉 総湯
(Wakura Onsen Souyu)



 和倉温泉の歴史は1200年。かつては、「涌く浦」と呼ばれていたが、いつのまにか「和倉」になったという。現在の和倉温泉は、高級旅館で海を見ながら風呂に入り、海の幸を九谷焼で楽しむという贅沢なものになってしまったが、総湯は共同浴場として、旅館を利用しない人にも安価に和倉温泉を楽しませてくれている。

 本日は、能登半島を一周し、この伝統ある和倉温泉・総湯へやってきた。総湯の入口には無料の足湯があり、多くの旅人がたむろしている。総湯の中にも入れない貧乏なライダーが目立つ。いや、彼らは貧乏なのではなく、時間が惜しいだけなのだろうか。

 総湯の浴室の最大のポイントは、「竜宮城」である。浴室の一番奥のしかも一番高い場所に、浦島太郎がやってきたかのような竜宮城がある。この城の中から滝が流れ出ており、浴槽にふんだんに湯が注ぎ込まれている。果たして龍宮城へは自由に入城できるのか。どこにも「立入禁止」とは書かれていない。ええい、早速入城である。

 おお。これはこれは。すばらしい眺めだ。浴室のすべてが見渡せるではないか。まるで、この浴室の殿様になったような気分である。滝の湯を体にあて、他の入浴客を見ながら考えた。このポジションを作った人には、遊び心があると。

 和倉温泉のもうひとつの特徴は、湯がしょっぱいことだ。元々和倉温泉は、海の中から湯を取っていたというくらいであるから、納得である。

 浴槽は様々なものがある。半円形の大風呂、六角形の深風呂、マッサージ風呂、露天風呂がある。

 洗い場は13箇所とかなり少ない。おかげで洗い場には行列ができてしまっている。これはいけない。共同浴場たるもの、もっと洗い場が必要だ。尚、洗い場にはボディーソープとシャンプーが完備されており、これらはなかなかいい匂いだった。

 サウナは細長い形をしており、定員は15〜16人程度と広い。もちろんテレビも完備されている。室内温度は104℃。サウナの外には水風呂もある。

 ちなみに、和倉温泉はナトリウム・カルシウム塩化物泉(高張性中性高温泉)で、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進、切り傷、火傷、慢性皮膚病、虚弱体質、慢性婦人病に効くという。

 また、この和倉温泉の湯は、飲用も可能だ。浴室の中にはひしゃくが置いてある。飲んでみるとかなり熱い。慢性消化器病、慢性便秘、吸入療法(うがい等)、慢性気管支炎、咽喉炎に効くという。

 和倉温泉で旅の疲れを癒し、次なる目的地・富山へ向かう。和倉温泉・総湯は、あらゆる旅人を受け入れる大きな懐のある共同浴場であった。

 ここで交通情報をひとつ。和倉温泉近くにある能登島は、水族館等が完成したことにより観光名所になったが、休日の夕方に能登島から和倉温泉に向かう道路は、数kmにわたって悲惨な渋滞が発生する。くれぐれもご注意を。

大人(中学生以上)480円、小学生180円、未就学児100


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
石川県七尾市和倉温泉 480円 7:00〜22:00 毎月25日(日曜、祝日の場合は翌日休)

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2006年5月4日(木)



 
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