城崎温泉は、京都との県境に近い兵庫県側にある古い温泉街だ。どれくらい古いかと言うと、今から約1300年前に、道智上人が「千日祈願の末に霊泉を湧出させた」ことが、城崎温泉の始まりと言われていることからもわかる。道智上人は、医療らしきものが何もない時代に、「すべての人を温泉によって救いたい」と考えていたらしい。それだけに、城崎温泉の素晴らしさが推測できよう。 城崎温泉は、川沿いの古い建物群、柳の並木、灯篭、川にかかるたくさんの小さい橋で構成された、雰囲気のある街だ。中には洋館風の喫茶店、ソフトクリームの専門店、海鮮料理(カニ等)の専門店もある。城崎温泉では、浴衣に着替えて、下駄をガラガラ鳴らしながら歩くことを推奨している。そうすることによって、この街全体を楽しんでもらおうということなのである。 温泉街にある駐車場(一の湯近く)は、1時間まで無料であり、そのあと1時間ごとに100円しか料金が徴収されない。城崎温泉の街を闊歩できるのは、浴衣を着た宿泊客だけではない。日帰り客もこのように大切に扱われている。 そんな日帰り客に重宝されているのが外湯巡りである。城崎温泉によれば、外湯巡りの元祖はこの城崎温泉なのだそうだ。城崎温泉には、今回紹介する「一の湯」の他に6か所の外湯がある。城崎温泉駅前にある「さとの湯」、御所をイメージしたゴージャスな外観の「御所の湯」、灯篭をイメージした不思議な外観の「地蔵の湯」、唐破風が印象的な「まんだらの湯」、和風の建築物「鴻の湯(こうのゆ)」、最も規模が小さいが、どこか愛嬌のあるたたずまいの「柳湯」。どれもこれも捨てがたく、個性のある温泉ばかりだ。 一の湯は、城崎温泉を代表する温泉であり、大きな間口の不思議な外観の建物だ。「桃山方式の歌舞伎座をイメージさせる」というのがこの建物のウリだ。しかし、この温泉の最大のウリは、建物の外観などではない。 一の湯の最大のウリは洞窟である。掘り抜いた洞窟に湯を導き、半露天の風呂に仕立てた。めったにお目にかかれない洞窟風呂なのである。洞窟の奥行きは約8mほど。岩にはノミの後と思われるたくさんの傷が残されている。浴槽の底部にはいろんな高さの岩があるので、好みに応じて座ることができる。腰までつかればいい人、半身浴がいい人、肩までつかりたい人、いろいろなニーズに対応している。 一の湯の湯は、無色透明だ。洞窟風呂の湯は若干ぬるめ、内湯は若干熱めになっている。洞窟風呂も内湯も各15人はゆうに入れる大きさだ。内湯にはマッサージ流も用意されている。 洗い場は全部で17か所。ボディーソープ、リンスインシャンプーは完備されている。サウナ、水風呂、上がり湯等はない。脱衣室のロッカーは92個もある。 ちなみに一の湯は、ナトリウム・カルシウム−塩化物泉(低張性中性高温泉)で、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、間接のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病に効くという。また、飲用の場合は、慢性消化器病、慢性便秘に効くという。 城崎温泉は、歩いて街全体を楽しみたい。 大人600円、小人(1歳〜小学生)300円 |
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住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
兵庫県豊岡市城崎町城崎温泉 | 600円 | × | × | 7:00〜23:00 | 水曜日 |
※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年8月8日(日)
さとの湯 電話:0796-32-0111 営業時間:13:00〜21:00 定休日:月曜日 入浴料:大人800円、小人(1歳〜小学生)400円 |
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地蔵湯 電話:0796-32-2228 営業時間:7:00〜23:00 定休日:金曜日 入浴料:大人600円、小人(1歳〜小学生)300円 |
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柳湯 電話:0796-32-2097 営業時間:15:00〜23:00 定休日:木曜日 入浴料:大人600円、小人(1歳〜小学生)300円 |
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御所の湯 電話:0796-32-2230 営業時間:7:00〜23:00 定休日:第一、第三木曜日 入浴料:大人800円、小人(1歳〜小学生)400円 |
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まんだら湯 電話:0796-32-2194 営業時間:15:00〜23:00 定休日:水曜日 入浴料:大人600円、小人(1歳〜小学生)300円 |
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鴻の湯(こうのゆ) 電話:0796-32-2195 営業時間:7:00〜23:00 定休日:火曜日 入浴料:大人600円、小人(1歳〜小学生)300円 |