北海道取材3日目である。今日は、釧路湿原、野付半島を巡って、野付半島の付け根にある野付温泉・浜の湯へやってきた。 浜の湯の周辺は漁港になっており、漁港のショップでさまざまな海産物を購入することができる。鮭、帆立、ほっき貝、蟹、干物、珍味が特産だ。 海に近いということもあって浜の湯ではカモメの鳴き声を聞くことができる。カモメの鳴き声が聞こえる銭湯なんて他にどこがあるのだろうか。 そう、浜の湯は温泉であって、銭湯でもある。浜の湯の中に入ればわかるが、その湯銭の設定は銭湯そのものである。東京に比べれば40円安い。 浜の湯には2つの源泉があり、一号泉はアルカリ性単純温泉(アルカリ性低張性低温泉)、二号泉がナトリウム−塩化物泉(弱アルカリ性高張性高温泉)となっている。前者は温度が低いので加温しているが、両者ともその湯量は十分なものとなっており、循環ろ過はしていない。 その湯量の豊富さは、浴室へ入れば一目瞭然である。浴室の一番奥の出入口から洪水のように湯が流れ込んでいるのだ。その出入口の向こうには露天風呂があり、洪水の正体は露天風呂からのオーバーフローだったのだ。 まずはその露天風呂へ行く。浜の湯のいいところは、2つの源泉を混ぜていないところだ。それぞれ別々の浴槽が用意されている。露天風呂だけでなく内湯も同様だ。露天風呂はかなり開放的であり、広い。岩を使った庭のようにもなっており、水車まで見える。一号泉の湯温は26℃で水風呂のような感じである。二号泉は42.5℃、こちらが適温である。 内湯では、一号泉が39℃、二号泉が41℃となっている。私にとっては、一号泉の方が快適である。一号泉は濁りのない黄緑色をしており、二号泉はわずかに濁りのある茶色となっている。 いずれにしても、この湯銭で、2つもの泉質を楽しめるのだから、かなりお得と言わざるを得ないだろう。 浴室のスペックを書いておこう。浴室はきわめてシンプルな構造だ。入って右側が浴槽、左側が洗い場になっており、洗い場は合計20箇所がずらりと並んでいる。実は、この洗い場のカランから出る湯もまた温泉なのである。ありがたいことだ。 脱衣室にはロッカーはなく、銭湯らしくない巨大な籠が置かれている。浜の湯は、銭湯であって、温泉でもある。なんとなく、中庸を行っているような気がした。 ちなみに一号泉は、リウマチ性疾患、運動器障害、神経麻痺、神経症、病後回復期、疲労回復に効くという。 一方二号泉は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、痔疾、慢性消化器病、慢性皮膚病、病後回復期、疲労回復、健康増進、虚弱児童、慢性婦人病、冷え性、きりきず、やけどに効くという。 浜の湯は、住民の常連客、旅人の両方をも満足させるだけの資質を備えていた。あっぱれである。 明日はいよいよ世界遺産の知床半島へ向かう。 |
||||
住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
北海道野付郡別海町 尾岱沼港町120 |
390円 | × | × | 10:00〜22:30 | 第一月曜日、第三月曜日(7月と8月は無休) |
※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2007年5月1日(火)