登別温泉 第一滝本館
(Noboribetsu Onsen Daiichi Takimoto Kan)



 北海道取材6日目である。本日の訪問先は、支笏湖、登別温泉、洞爺湖、有珠山、昭和新山、ニセコ、と実に盛りだくさんである。
 今回紹介する温泉は、北海道で最も有名な温泉であろう登別温泉。しかも、その登別温泉で最も有名な老舗・第一滝本館を紹介する。
 さすがに人気の老舗とあって、その入浴料は半端な値段ではない。入浴受付開始は9:00から。我々取材班は8:00頃に登別に到着したので、周辺を散策する。地獄谷、大湯沼等を見物。さすがに有名温泉地だけあって、早朝から人手が多い。外国人も多いようだ。
 第一滝本館では、宿泊客と日帰り入浴客とでは、入口を分けている。また、館内では日帰り入浴客はスリッパ、宿泊客は草履を履くようになっているので、違いは歴然である。
 9:00というと、宿泊客がチェックアウト前に駆け込みで入浴を済ませる時間帯なので、浴室は結構混雑している。混雑が嫌いな人は、10:00〜12:00の間がお勧めだ。
 さて、その浴室であるが、大きな別館の建物が丸ごと温泉施設という構造になっており、圧巻の規模だ。その総面積は浴室だけでも5,000m2で、浴槽は男女合計35個もある。
 脱衣室には籠が200個以上設置され、バスタオルの無料貸し出し、手ぬぐいのサービスはもちろん、冷えたほうじ茶のサービスもある。
 浴室内の全ての浴槽には名前がつけられ、全部で7つもの源泉を取り入れていることがわかる。サウナはドライとウェットの2つがあり、もちろん水風呂も完備。あらゆる泉質、あらゆる温度の湯が楽しめ、のぼせ上がった脳みそでは、それぞれの浴槽の名前や特徴を覚えて取材記録としてまとめることはもはや不可能となった。
 パンフレットを基に簡単に紹介すると、7つの源泉とは、「@癒しの湯(ナトリウム・カルシウム−塩化物泉)」「Aきずの湯(酸性−含硫黄(ナトリウム)塩化物・硫酸塩泉)「B美人の湯(ナトリウム・カルシウム・マグネシウム−塩化物・炭酸水素塩泉)」「C万病の湯(酸性−含硫黄・鉄(II)−硫酸塩泉)」「D熱の湯(ナトリウム・カルシウム−塩化物泉)」「E美肌の湯(酸性−含硫黄(ナトリウム)硫酸塩泉)」「F鬼の湯(ナトリウム・カルシウム−塩化物泉)」となっている。
 浴室は立体的な構造になっている。従って、浴室内での歩く距離もかなり長い。まず、脱衣室から入ると、巨大な内風呂がある。このフロアーには洗い場もあり、カランがある場所は23箇所であるが、それ以外にカランがなくても体を洗えるスペースが無数にある。
 洗い場には、馬油のシャンプー、ボディーシャンプー、リンスと、炭のシャンプー、ボディーシャンプー、リンス、洗顔フォーム、アケビのシャンプー、ボディーシャンプーがある。女湯にはオレンジのシャンプーやその他各種洗顔フォームが多数あったそうだ。お勧めは馬油。売店で見たら恐ろしく値段が高かったからだ。
 内湯の下の階にはアクティブに入浴を楽しめるゾーンがある。サウナ、歩行浴、打たせ湯、寝湯などがそれだ。さらにその外には露天風呂がある。露天風呂では、ビールや日本酒をサイン一つで注文できるようになっており(宿泊客のみのサービスと思われる)、至れり尽くせりである。
 内湯の浴槽からは地獄谷の全貌を見ることができる。さらに、内湯からはプールへもアクセスすることができる。プールへ行く場合はもちろん水着を着なければならない。もちろん水着のレンタルも完備。
 日帰り入浴については、時間制限がないので、一日中、入浴、プール、マッサージ椅子、ビールで一杯、休憩室で居眠り、なんてことを延々と繰り返すことも可能だ。風呂好きには天国のようなところだ。
 ただ、批判的に書かせてもらえれば、第一滝本館の風呂は有名になりすぎたせいか、本来の日本の温泉宿が持っていた、趣、情緒、和の風情、自然との一体感、古き良き伝統といったものは何一つ感じられない。これは、残念なことかもしれない。入浴が一種のエンターテインメントと化してしまっている。これではスーパー銭湯と変わらないではないか。温泉宿は日本文化を伝える伝道師であってほしいものだ。
 明日は余市から小樽へ向かい、小樽市内取材の後、本土・新潟へ向けて出航する。長かった北海道取材であったが、あっという間に過ぎ去っていった感がある。移動のための走行距離は本土内(東京⇔新潟)を入れると実に3,000km。北海道は本当に広い。今度はラベンダーの咲く夏に取材をしたいとか、真冬にスキーを楽しみたいなどと考えながら、一体いつここに戻って来られるのかと思案していた。

大人2,000円、小人1,000円、宿泊者は無料


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
北海道登別市登別温泉町 2,000円(宿泊者は無料) × 日帰り入浴は9:00〜16:00(受付は15:00まで)、宿泊者は24時間(但し、露天風呂、サウナ、蒸気風呂は6:00〜24:00、プール、露天ジャグジーは8:00〜22:00) 無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2007年5月4日(金)



 
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