昭和温泉郷 湯楽里
(Syouwa Onsenkyou Yurari)



 呉市には熱い観光スポットがある。「大和ミュージアム」と「てつのくじら館」だ。2つの施設は隣り合って設置されており、前者は戦艦大和を造り上げた海軍工廠と呉市の歴史と科学技術を紹介するもの、後者は自衛隊が運営し、掃海の重要性を訴え、実物の退役潜水艦を展示する掃海と潜水艦のPR博物館だ。後者は入館無料である。
 呉市の土産物は、広島の土産物の代表格であるもみじ饅頭のパッケージを戦艦大和や潜水艦に変えたものになっている。呉は造船と戦艦大和がそのシンボルであり、プライドでもあるのだろう。
 そんな呉市のスーパー銭湯をひとつ紹介しよう。今回紹介するのは、「昭和温泉郷 湯楽里(ゆらり)」である。この施設は、ビジネスホテル「ゆらりの宿 fields」、ディスカウント酒屋「酒庫 住田屋」、ディスカウントスーパー「ゆう遊新鮮市場」などと一体になった複合施設だ。
 中に入ると、そこは昭和30年代の世界だ。タバコ屋、洗濯物を干す2階の木造バルコニー、ホーローのボンカレーあるいはオロナミンCドリンクの広告看板、白熱電球の笠付街灯、電柱とトランスなどが忠実に再現、あるいは本物が使われている。
 とはいうものの、風呂はきわめてノーマルなスーパー銭湯である。この銭湯、内湯の主浴槽、水風呂、露天風呂は天然温泉が使用されている。内湯の浴槽は実に多彩だ。
 まずは大きな主浴槽。これは3つに分かれており、気泡風呂もある。それ以外に、寝風呂が5人分、座風呂が5人分、エステ風呂が4人分あり、水風呂、電気風呂がある。電気風呂では、電極同士が少し離れているので、それぞれの電極に腰を当てている常連客が2人、向かい合うようにして座っている。ちょっと気恥ずかしい距離だ。
 露天風呂には薬湯とうたせ湯がある。本日の薬湯はワイン風呂のようである。うたせ湯は2種類があり、2本の水流が出ているものと1本だけのものがある。2本の水流の場合は、両肩に同時に当てることができよう。
 湯温はどれも適温かぬるめだ。したがって、長時間楽しむことができる。露天風呂には、体を冷やすスペースも確保されている。
 サウナは塩サウナと高温サウナがある。前者の室内温度は72℃、定員は6人ほどだ。残念ながら塩は見当たらなかった。自分で持ち込むルールなのだろうか。高温サウナは室内温度90℃、定員は12人ほどだ。
 女湯のサウナには、塩サウナの代わりにアロマミストサウナがある。しかし、アロマと呼べるほどの香りは何もしなかったらしい。
 洗い場は全30個所。他にシャワーブースが2か所あり、塩サウナの出入口付近にもシャワーがある。塩を落とすために設置されているのであろう。
 ちなみに、湯楽里の湯は含弱放射能−ナトリウム−塩化物冷鉱泉(放射能泉、低張性中性冷鉱泉)で、いわゆる「天然ラドン温泉」であり、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、間接のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、健康増進、疲労回復、病後回復期、切り傷、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病、虚弱児童、痛風、動脈硬化症、高血圧症、慢性胆嚢症、胆石症に効くという。さすがにラドン温泉だけあって、実に多い効能である。
 湯楽里では、ゆら〜りと楽しむのがいいみたいである。昭和30年代の雰囲気と、天然ラドン温泉を心ゆくまで堪能してほしい。

大人500円、学生400円、小学生300円、乳幼児200円


住所 入浴料 サウナ TV 営業時間 定休日
広島県呉市広古新開3-2-28 500円 平日、祝日10:00〜23:00、土曜日、日曜日7:00〜23:00(最終受付22:30) 無休

※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2010年8月13日(金)



 
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